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初の社員出身社長に!200年企業を目指す5代目の挑戦

経営者の情熱を発信していく“Project CHAIN”の第22弾。今回は千葉県習志野市に本社を構えるアシザワ・ファインテック株式会社の加藤厚宏(かとう あつひろ)社長です。同社は、原料をナノサイズまで細かくする「ビーズミル」と呼ばれる微粉砕・分散機の専門メーカーであり、創業120周年を迎え、「世界最高の微粉砕機メーカー」を目指しています。
同社はこれまではオーナー経営でしたが、今年(2023年)5月に初の社員出身の社長として、加藤厚宏社長(5代目)が就任しました。社長就任の節目に、就任前から現在、そして次の100年に向けた思いをお聞きしました!

設計から完成まで、ものづくりの楽しさを十分に味わえることに魅力を感じて

-入社のきっかけは何ですか。

大学では機械工学を専攻し、学生時代からものづくりに興味がありました。大手企業への就職も選択肢にありましたが、企画のゼロ段階から設計・開発、最後の製品製造まで関われることに魅力を感じ、当社に入社しました。入社して18年間は設計に携わっていました。その後は、製造や人事・総務の部署等も経験しましたが、設計部署での経験が一番長いです。

ビーズミルは、電子材料や食品など様々な産業の素材づくりに欠かせない

初めて創業家以外から社長に昇格!

-どのような経緯で社長になられたのでしょうか。

実は、現会長である4代目社長とは入社が数ヶ月違いの同期で、以前から60歳になる前に社長を退きたいという話は聞いておりました。親族に適齢の後継者がいないこともあり、社内の誰かが5代目の社長になるのだろうと漠然と思っていましたが、1年程前に、私が次期社長に内定したことが社内に示され、副社長に就任しました。1年間の副社長としての引き継ぎ期間があったため、スムーズに社長に就任することができました。

-アシザワ・ファインテックの誕生

当社の前身であるアシザワ株式会社は不動産部門が好調だった一方で機械製造部門は不振であったため、金融機関からは、不動産事業だけに専念し、機械製造部門を廃止したらどうだと言われていました。ただ、不動産部門の安定収入に頼っていては世界のトップを目指すことができないため、創業100周年を迎えた2003年に、4代目社長の英断により、アシザワから機械製造部門を分離し、本業であった機械製造部門をもとにした新会社(アシザワ・ファインテック)を誕生させました。

不退転の決意であったため、アシザワの機械製造部門の全社員を解雇して退職金等を支払った上で、今後も一緒に働いていく意思のある者だけを再度雇用することにしたのですが、社員のほとんどが賛同して新会社に移りました。
その際、当時の社員たちは会社を船に見立てて、その行先を託すという意味を込めて4代目を「船長」と呼びました。私が社長に就任した際には、船長引継証書を頂き、会社の舵取りを任せたということで、この舵輪(だりん)を渡されました。

ビーズミルの用途や特徴を丁寧に説明する加藤社長

-社長に就任されて、プレッシャーはありましたか。

初めての親族外社長ということもあり、いろいろプレッシャーはあります。
4代目は約20年の社長在任中に売上げを15億から30億に、従業員数を60名から164名へと会社を飛躍的に成長させました。私が就任の挨拶回りをした際、社外から高く評価されていることが分かり、先代の存在の大きさを再認識しました。
また、これまでは悩み事があれば、社長に相談出来たのですが、今後は社長である私自身が最終判断をしなければなりません。実際、社長になってみると判断することが多く驚いていますが、業績が良い状態で社長に就任できたので、会社をさらに伸ばして次の世代に繋げるようにしたいと思っています。

ビーズミルを活用している多様な商品について説明する加藤社長

先代の思いを引き継ぎ、失敗を恐れず挑戦へ。

-会社を成長させていくためには何が必要なのでしょうか。

社員には、どんどんチャレンジをしてほしいと思っています。私も今までいろいろチャレンジしてきましたし、多くの失敗も経験しました。
設計に限らず、お客様との関わりなどでも、失敗しないと分からないことがたくさんあります。やはり世界のトップを目指すには常にチャレンジし続けていくことが重要だと考えています。
私自身は、これまで会社と一緒に自分も成長してきたと思っています。社長に就任したので現場からは離れてしまいましたが、現場目線をはずさないように、出来る限り社員とともにお客様のもとに足を運ぶようにしています。お客様のご意見を伺い、それを社内にフィードバックして製品の質を向上させたいと思っておりますし、ものづくりによってお客様が喜んでくれることが、私の喜びです。
また、それと同時に社員の働く環境も整えていきたいと思っています。自分自身も設計の仕事を担当していた時は、時間の感覚がなくなる程、仕事をしてしまうことがありました。技術畑の社員は仕事に没頭してしまう人が少なくありません。そのため、労務管理や職場環境の改善などにも努めていきたいと思います。

-最後に社長としての抱負をお聞かせください。

4代目は、次の100年(創業200年)を目指すために必要なこととして、社員からの社長登用を決断しました。次期社長については何も決まっていませんが、自分の姿を見て、社内から社長をやりたいという人が出てくると良いなとは思います。
私も、200年企業を目指すために、誰が社長になっても大丈夫な持続可能な会社を作っていきたい。そのための環境づくりに取り組みます。これが私自身の社長としての挑戦だと考えています。

【企業概要】
アシザワ・ファインテック株式会社
代表取締役社長 加藤 厚宏(かとう あつひろ)
千葉県習志野市茜浜1-4-2

“創業120周年という節目、かつ4代にわたるオーナー経営から会社を引き継いだ社長”という肩書きであり、最初は厳格な人なのかなという印象がありましたが、実際に深くお話しさせていただくと、優しい表情の理系出身設計マニアという少し意外な姿でした。「誰が社長になっても大丈夫な持続可能な会社を作っていきたい」というお話をお聞きして、長く続く会社だからこそ安定だけでなく色々な挑戦も必要であるということが分かりました。
                        派遣特派員 MH、FC

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