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80年以上地域で愛される『中央亭の餃子』を引き継いでいくために~未来を見据えて~

経営者の情熱を発信する“ProjectCHAIN”第33弾。今回は静岡県沼津市にある有限会社中央亭の代表取締役 友田 美千代(ともだ みちよ)さんです。
同社は、静岡県沼津市で餃子の専門店を経営しており、「沼津といえば『中央亭の餃子』」と言われる程、地元では有名店です。なんとメニューは餃子とライスのみ。80年ほど前に友田社長の祖父母が創業し、地元のみならず県外からも愛される『焼いて煮る唯一無二の餃子』を引き継ぐ友田社長の熱いお話をお伺いしました。

家業である「中央亭」との関わり

-家業に携わったきっかけを教えてください。

中央亭は、私の祖父母が80年以上前にビルの一角を間借りして創業した、カウンターに8人程度が座れる小さな中華料理屋がその始まりです。
最初はラーメンやチャーハン、餃子など一品料理を提供する一般的な中華料理屋でしたが、ある時から「中央亭の餃子が美味しい!」と巷で評判になり、そこから餃子の提供一筋となりました。祖父母はリヤカーをひいて、餃子を販売していたこともあったそうです。

その後、父が事業を継いで沼津の中心街・大手町に新たな店舗を構えました。大手町の店舗でも行列は絶えず、一つ一つが大きく、皮がもちもちの餃子を多くの方に食べてもらったそうです。

沼津市大手町の店舗写真(画像提供:有限会社中央亭)

当時は長女・長男が家業を継ぐことが多く、私には姉がいたこともあり、家業を継ぐなんて全く想像していなかったため、専門学校を卒業後、東京の小さな広告代理店に就職しました。

東京で一人暮らしをしていたこともあって、父はよく心配して沼津に帰っておいでと言ってくれていましたね。父を心配させてはいけないという思いもあり、結婚を機に沼津へ戻り、職を探していた時に父から「家業が忙しくなってきたから手伝ってくれないか」と話がありパートとして手伝い始めたのがきっかけです。

ポジティブに考えた社長就任

-パートとして中央亭に入社し、その後、正社員として数十年間事業に携わってから、社長に就任されたとのことですが、当時の率直な気持ちはいかがでしたか。

ある夜、店の営業終了後に次の代表者を決める会議が行われました。当時、従業員は全員親族だったのですが、予想外にも私の名前が挙がったのです。不安もありましたが、それ以上に驚きの方が大きかったのが本音でしたが、ポジティブに考えて引き受けようと決意しました。
その時は使命感というか、会社を存続させることは勿論なのですが、従業員一人一人やその家族を守らなくてはならないという思いが一番でしたね。

でも実際のところ、経営者というのは、私が思っていた以上に大変でしたね。
数年手伝っていたので、なんとなく会社全体を把握しているつもりではいましたが、私の父がとにかくパワフルな人で、製造から経理まで会社のすべての事を自分一人でやる人だったので、私が社長になった時に最初に何から手をつけて良いのかも分からず大変苦労しました。
なので、分からないなりに、まずは事務所の整理・整頓から始め、決算書や父が管理していた帳簿も全て目を通しました。取引金融機関にもお願いして決算書の見方の勉強会も実施してもらいましたよ。おかげで今では決算書も理解できるようになりました。

-社長になって変わったことはありますか。

社長になってから、毎日欠かさず行っていることがあります。それは毎日の日報とお客様情報ノートをまとめることです。日報は、その日の来店客数やお持ち帰りの販売個数などを把握するためのもので、お客様情報ノートは、ご来店されたお客様の情報を記載して、次回ご来店された際に備えてお名前と顔をしっかり覚え、お客様とお話できるよう準備しておくものです。
当店はありがたいことに県外からのお客様も多く、遠い方だと沖縄の石垣島からご来店されるお客様もいらっしゃいます。そういったお客様に対して『最高のおもてなし』が出来るように準備をしておきたいのです。

中央亭さんの従業員さんたち(左)と友田社長が毎日記入するお客様情報ノート(右)

様々な葛藤から一大決心した新店舗建設

-社長に就任後、新店舗をオープンされたとのことですが、新店舗への想いを教えてください。

沼津市大手町の旧店舗は老朽化が進んでいたので、リフォームや建替えを考えなければなりませんでした。従業員とも相談して色々と悩みましたが、新たな土地(沼津市添地町)に新店舗を構える決意をしました。

計画当初は、私の代で旧店舗を閉めて良いのか、このコロナ禍のタイミングで新店舗をオープンさせるべきなのか、お店を移転することでお客様が離れてしまわないか等、色々な不安や思いが浮かびました。
ですが、祖父母から始まった中央亭を継続していくために、そして従業員にも安心して働き続けてもらうためにも新店舗への移転を決意しました。

新店舗は、従業員それぞれが持ち場のレイアウトを決め、どうすれば効率よく仕事が出来るか、どうしたらお客様に楽しく、美味しく餃子を食べて頂けるかなど、色々な想いが詰まった新店舗になっています。
私のこだわりも反映されています。焼き場からお客様の顔が見られるようにしてほしいと建設会社にお願いしたのです。
餃子を食べて「美味しい!」と仰ってくれるお客様の笑顔が私のモチベーション維持に繋がります。従業員も私と同じようにお客様の笑顔を見たいという一心で仕事をしていると思います。

新店舗がオープンして2年程経ちましたが、ありがたいことに今までのお客様も変わらずご来店頂いていますし、新規のお客様にもご来店頂いております。
祖父母が創業して、80年以上変わらない「中央亭の餃子」の味を引き継ぎながら、沼津のソウルフードとしてこれからも皆さんに食べて頂きたいです。

新店舗の外観とお客様の笑顔が見られるように設計された焼き場のカウンター
焼いて煮る唯一無二の餃子。年末のご予約は再来年まで埋まっています(2023年取材)

【企業概要】
 有限会社中央亭
 代表取締役 友田 美千代(ともだ みちよ)
 静岡県沼津市添地町46

-編集後記-
友田社長にインタビューさせて頂き何事にも全力で取り組み、お客様の笑顔を見るために『最高のおもてなし』を提供する姿勢にとても感銘を受けました。
従業員のみなさんも『仕事が大好きで、お客様の笑顔を見たい!』という考えを全員が持ちながら、仕事をしている姿がかっこよかったです。
                          担当特派員 KW


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