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「面白い!」を何よりも大事に!新しいことにチャレンジし続ける極意とは

経営者の情熱を発信するProject CHAIN 40弾。今回は、福島県南相馬市で、次世代のモビリティとして期待される空飛ぶクルマの開発・製造を手がけるテトラ・アビエーション株式会社の取締役 新井 秀美(あらい ひでみ)さんです。 同社は東京大学発のスタートアップ企業として設立。現在は南相馬市の福島ロボットテストフィールドの隣に本社を構えて、未来を見据えた機体開発を進めています。「新しいことが大好き!」という思いから空飛ぶクルマの実用化に向けて突き進んでこられた新井取締役の思いを伺いました。

女性役員の「先駆け」として

-テトラ・アビエーション株式会社に入社されたきっかけを教えてください。

もともと行政書士として仕事をしていたのですが、代表取締役である中井さんの知人から紹介を受けまして、「ベンチャー企業にも航空機が作れるんだ。すごいなあ!」と思って面白そうだから入社しました。
当初は社員として労務管理等を担当するようにお願いされ入社したのですが、入社して1~2週間後急に役員になってくれないか打診があり、驚きのあまり「聞いてないです!」と言ったことを今でも覚えております。とても悩みましたが、弁護士の友人から「現にゴールドマン・サックスは女性役員が30%に満たない企業については上場支援に向けた仕事を引き受けていないし、近い将来日本でもこうした動きが加速するのではないか。女性役員の比率を上げるために社外取締役を登用することはよくあることだけど、内部に入るケースは少ないから役員として働いてみたらどうか。」とアドバイスを受け、そういった時代が来るのであれば先駆けてやってみるのもありかなと思い、最終的に役員として働くことを決意しました。

インタビュー対談中の新井取締役

何より航空分野が大好き!

-空飛ぶクルマに携わろうと思った決め手は何ですか?

航空分野が好きだからですね。高校時代には航空部に所属していました。もともと航空マニアで飛行機に乗ることが好きだったことも大きな要因です。新しい機体が飛び始めるとき、逆に引退するとき、新しい空港ができて新路線の就航が開始されるときが航空マニアとしてはイベントデーで、特に私は初便に搭乗するのが好きです。例えばPEACHの初フライトや、神戸空港の開港時にはANAの便などに乗りました。また、就航開始の初便に乗るとグッズをいただけるので、そうしたグッズをたくさん集めていました。初便の値段は高いのですが、ご祝儀だと思っているので、乗ってしまいます!金額は見ていません(笑)。

-ご両親の影響などがあったのですか?

そうですね。特に父の影響が大きいと思います。父は航空機に限らず新しいものに惹かれる性格で、家電機器など最新型が世に出ればその度に購入していました。父に似たのか、私も新しいもの好きで、今でもVR機器など最新のものが出ると、つい買ってしまいます。

一つのスタートアップ企業から地域全体の活性化につなげたい

-新しいことがお好きなのですね。

はい!新しいことをしているときが幸せです。昔、耳にした「想念は実現の母」という言葉がいまだに強く印象に残っています。「こうしたい」「ああしたい」と考えるようになれば一見夢物語のように見えても実現できるという意味ですが、私自身、周りの人たちが「面白い!」と思ったことの実現のために全力でお手伝いしています。周りの人たちの夢が、最終的に形となって世の中に出ていくと、とても嬉しくなりますね。

最近では街作りにとても関心があります。当社や近隣の企業が地域に雇用を生み出して、南相馬をスタートアップの集積地にするという大きな目標があります。そのため、従業員には、他の企業からも引き抜かれるほど色々な仕事を経験して知識や技能を身に付けてほしい、とよく言っています。
また、事務員として雇用している従業員は地元で子育て中のママが多いのですが、最低限の勤怠連絡をすれば、退勤のタイミングは自由、子どもの体調不良時にはすぐに帰宅することができるようにしています。個人的にはルールをかっちりと定めない方が従業員のパフォーマンスが上がると思っています。

福島ロボットテストフィールド内で展示されているMk-5木製コックピットモデル(左)
福島ロボットテストフィールド外観(右)

-従業員の皆さんを大切にされているのですね。

日頃から従業員のキャリアアップを意識しています。とにかく従業員に良い暮らしをしてほしいです。マーケット獲得も大事ですが、従業員の待遇や働きやすさも同様に意識しており、現在も従業員数を増やしたり、給与や待遇面の改善に努めています。生活に必要なものは東京と同様に手に入り、かつ家賃が非常に安いという土地の強みを活かしたいです。「地方だから時給1,000円で十分だろう」と言われることはありますが、同一業務に対して東京と同一賃金を支払うことで、従業員の生活や働きやすさが向上すると思っています。私自身も東京と福島を往復しながら仕事しているのですが、地域を問わずどこでも働けるようにしたいですね。
あとは、従業員がやりたいことをできるような会社にしたいです。「お金がないからできない」をなくしたいですね。そのため資金調達に日々奮闘しています(笑)。

「面白い」が一番!

-最後に未来を担う若者へのメッセージがあればお願いします。

航空分野に限らず何にでも興味を持ってほしいです。もちろん航空分野だったらなおのことうれしいですね。私が小さい頃は、子供のなりたい職業トップ10の中に必ずパイロットが入っていましたが、現在はランキング外で少し寂しいです。
あとは、面白そうだなと思うものに対して、ネットで検索して知った気になるだけではなくて、現場に行って、実際に見て触って、聞いてほしいです。私は行政書士として様々な仕事に携わってきましたが、自分が今まで関心がなく知らなかったことも、実際に現場で見てみたら面白いことばかりでした。

空飛ぶクルマについて、多くの人は「本当にそんなものが空を飛ぶの?」とか「法改正が必要で大変そう!」といった第一印象から入りがちなのですが、まずは私たち自身が面白がることが大切だと思っています。そうすると相手も楽しくお話ししてくれるようになります。新しいことを始める人たちは、みなさん世の中を良くしたいとの思いでやっていますので、最初から「えっ、そんなの・・・」と否定するのではなくて、面白がって聞きに行くことが大事です。私はそうしたことでお仕事が増えました(笑)。
何事も面白がればいいんじゃないかな!

福島ロボットテストフィールド内で展示されているMk-3と新井取締役

【企業概要】
 テトラ・アビエーション株式会社
 代表取締役 中井 佑(なかい たすく)
 取締役 新井 秀美(あらい ひでみ)
 福島県南相馬市原町区萱浜北谷地292

-編集後記-企業としての事業成長に加えて、社員や従業員の成長、さらには未来の南相馬市の街づくりまで考えておられる新井さん。先入観や固定概念にとらわれずに「面白い!」を重視して新しいものを受け入れることは一見簡単なようで難しいですが、非常に大切であることに改めて気づくことのできたインタビューでした。                                                                                                                             派遣特派員 IT



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