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データ活用により出荷ピークの解消を目指す ~株式会社サカタ製作所~

こんにちは、関東経済産業局 デジタル経済課です。
今回は、地域中小企業(製造業)のDX先進事例として、出荷ピークの解消を目指し、データ活用に挑戦する金属屋根部品メーカーの取組事例を紹介します。

送料無料サービスの悩み

創業から半世紀以上に渡り、金属屋根部品に特化した専業メーカーとして新潟県長岡市に本社を構える株式会社サカタ製作所
同社は、20年以上前から、競合他社同様に「3万円以上の注文は送料無料(3万円ルール)」のサービスを提供してきました。

しかし、3万円ルールを満たすために追加注文をギリギリまで受け入れていたため、出荷許可が出荷当日の午後、特に夕方がピークになり、それに備えた人員が必要でした。

また、夕方に出荷許可が集中することで、トラックの出発に間に合わない事態となり、トラック業界の長時間労働の原因の1つである“荷待ち”が発生していました。同社は、国が主導している“ホワイト物流”推進運動の賛同企業であり、トラック業界の生産性の向上・物流の効率化に向けて、“荷待ち”時間も減少させたいと考えていました。

さらに、2024年4月よりトラックドライバーの時間外労働の上限が年960時間までとなり、長時間労働に支えられてきたトラック業界の再構築が迫られる「物流の2024年問題」が控えています。この問題も見据え、同社は実証に取組みました。

3万円未満でも送料無料サービスの実証

まず、出荷許可のピーク軽減に向けて、送料無料サービスを改定するために、顧客の27事業所に対して、改定版送料無料サービスを提供する実証実験を半年間実施しました。

その後、半年間の実証で得られた送料やピークタイムのデータを分析・見える化し、昨年同時期の実績と比較しました。
その結果、送料による収入は減少するものの、ピークタイムの出荷許可件数は2割弱削減でき、営業事務効率が改善されたことが分かりました。

同社では、この実証結果を踏まえて、営業事務の軽減効果が見込める一部の顧客の事業所にて、改定版送料無料サービスを継続しています。また、本取組みをきっかけに、データを活用した取組を社内に展開し、データドリブン経営(データに基づく経営)に向けて取り組んでいます。

DX推進を目指し、地域企業内のデータ活用人材の育成

デジタル経済課では、地域企業内に“データ活用人材”を育成し、DXを推進するために、“地域中小企業データ活用ブートキャンプ事業”を実施しています。

本事業は、自社の強みを活かした、データ活動計画を企画・実証するプログラムです。令和3年度に、株式会社サカタ製作所も本事業に参加いただき、今回紹介しました改定版送料無料サービス実証の計画策定、実証、データ分析を実施しました。

今後も引き続き、自治体や地域の支援機関の皆様と連携し、地域企業内にデータ活用人材を育成し、DXを推進していきたいと考えています。
もし本事業に少しでも興味を持っていただけましたら、下記リンク先に掲載のお問合せ先までご連絡ください。