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「失敗大歓迎!」その裏にある社長の想いとは

経営者の情熱を発信する“ProjectCHAIN”第37弾。今回は、神奈川県相模原市でロボティクス事業を営む株式会社クフウシヤの大西威一郎代表取締役です。同社の強みは、ロボット開発に必要なソフトウェア開発・電気設計・メカ設計の全てに対応できることで、同社メンバーの技術力を集結し、まだこの世にないロボットの開発に日々チャレンジされています。
大西さんのこれまでのご経験や経営者としてのお考えについて話を伺いました!

学生時代から抱いていた経営者の道

-クフウシヤを起業した経緯を教えてください

学生時代から漠然と経営者になりたいと思っていました。20代はまずは経験を積まなければと思い、ITの営業職など6年ほどサラリーマンを経験しました。その間も経営について学びたいと考え、MBAに通ったり、中小企業診断士の資格も取得しました。

-その後、クフウシヤを起業したのでしょうか?

まずは父が独立して飲食店をやるというので、仕事を手伝うことになりました。そこで、大きな失敗を経験しました。飲食店を3店舗出店しましたが、3年で2店舗閉鎖することになったのです。
私はこれまで経営を学んでいたのでうまくやれる自信がありました。だからこそ、店を閉めることは私にとって大きな挫折となりました。打ちひしがれている中、中小企業診断士の仲間からの紹介で、中小企業診断士の資格を生かし、相模原のロボット産業特区でコーディネーターとして企業を支援する立場で働くことになりました。事業を起こして失敗した自分から見ると、会社が存続していること自体がすごいことだと、経営者への尊敬の気持ちが改めて芽生えました。経営者の方々から刺激を受けるうちに、ビジネスとしてのロボット開発事業に魅了され、自分もロボット開発の会社をやってみたいと思うようになり、株式会社クフウシヤを起業するに至りました。

社内のいたるところに存在しているロボットの試作品
研究所のような雰囲気の工作室

クフウシヤ起業!これまでの経験から大切にしていること

-これまでの経験から経営していく上で意識していることはありますか?

わくわくする仕事をすることです。過去に飲食店経営を失敗した原因は、仕事を楽しんでいなかったことだと思っています。そのため当社のメンバーが楽しんで仕事ができる環境にすることを心がけています。例えば、自分らしい人生を楽しめるよう、年間休日は130日以上、残業は基本なしと決めています。またワクワクする仕事をしてもらうために、当社では一日のうち半分はメンバーが自由に研究開発をする時間にしています。

-自由に研究開発!それはとても楽しそうですね!

研究開発の内容は何でもいいわけではなくて、クフウシヤに関係するような分野(ロボティクスやAI)に限った研究としています。その研究開発のおかげで、新たな仕事も獲得できており、会社の発展に繋がっています。
私はロボット開発会社の社長ですが、実は文系なのでロボット製作に関しては素人です。そのためものづくりのプロである取締役に相談したところ「良いアイデアは余裕から生まれる」とヒントを貰いました。そこであらかじめ会社の運用で“余裕”を作ることにしてみました。
余裕を作るもう1つの工夫として、失敗大歓迎!を掲げています。大学卒業後、民間企業に就職した際、失敗をしてはいけない雰囲気を強く感じていました。周りを見てみると、失敗を恐れ、失敗しないために何もしなくなる人も多く存在しました。私はそんな考えに違和感を覚えていました。なので、クフウシヤでは失敗は大歓迎です!

-失敗することよりも何もしなくなる方が問題ということですね

その通りです。クフウシヤでは自社の採用ページに「失敗はやる気の証拠、失敗大歓迎」と記載するほど、失敗に関して寛容です。とりあえず何事もやってみよう!という考えです。例えば、AとBのどちらの部品を採用するか一週間悩んでいるのであれば、悩むよりもまずAを買って、だめだったらBを買って試してみればいいと思います。また従業員から失敗の報告があったら、絶対に拍手のリアクションや、ナイス失敗!と返信するようにしています。
そもそも、何事も思い通りいかないことが普通だと思っています。以前は完璧主義でしたが、大きな失敗を経験して、考え方が変わっていきました。失敗して当たり前。失敗しても、明るく前向きに、工夫して失敗を乗り越えればいい。会社名はこの想いを込めて「クフウシヤ」と名付けました。

自身のこれまでの体験を笑顔を見せながら身振り手振りを交えてお話しいただいている大西社長

クフウシヤの今後の展望

-大切にしている言葉は、「情けは人の為ならず」とお聞きしました。何かきっかけはあったのでしょうか?

元々私は、何か違和感を覚えると、すぐ厳しいことを言ってしまうタイプでした。しかし学生時代の仲間とのつながりなどで、自分の行動が巡り巡って自分に返ってくると学びました。世の中は表裏一体なのでそんな簡単なものではないのかもしれませんが、それでも私は、人のために行動したことはいつか巡り巡って自分に返ってくる、そしてそれが自分の財産になると考えています。
仕事でも、企業のお困りごとをロボットの力で解決しています。世の中にないものを生み出すことは大変な苦労を伴いますが、その過程で得た知識や経験、また企業とのつながりが、クフウシヤが困ったときに何かしらの形で助けとなり、会社の財産になっていくと考えています。

-最後に今後のクフウシヤの展望を教えてください。

現在4足歩行のロボットの開発を行っているのですが、いずれ2足歩行の人型ロボットを作りたいと思っています。ロボットに関わるエンジニアたちは人型ロボットを作りたいという夢を持つ人が多いと気付いたのがきっかけの一つです。夢を仕事にできたら、きっと楽しいですよね。4足歩行のロボット開発を行うなかで、失敗を繰り返してノウハウを蓄積し、将来的には2足歩行の人型ロボットを実現させたいです。
普通のことをしていたら大手企業にはかないません。クフウシヤだからこそできる、他がやらないこと、やっていないことにチャレンジし続けていきたいです。新しいことにチャレンジし続ける企業だからこそ、失敗が当たり前です。失敗しても、明るく前向きに工夫しながら、涼しい顔で失敗を乗り越える、そんな企業であり続けたいと思います。

【企業概要】
株式会社クフウシヤ
代表取締役 大西 威一郎(おおにし いいちろう)
神奈川県相模原市中央区淵野辺本町3-1-9

-編集後記-
私が取材中言葉に詰まったときも、優しく助け船を出しながら話を広げていただいたことがとても印象に残っています。
私自身も「情けは人のためならず」大切にしている言葉です。大西社長のお話を聞いてより身の回りの様々な人のためになるような行動を心がけて過ごしていこうと思いました!
                          派遣特派員 NT