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社長になるまでの“腹落ちステップ”とは
経営者の情熱を発信する “Project CHAIN”第54弾。
今回は、埼玉県秩父市にある株式会社シバサキの柴崎 聡(しばさき さとし)社長です。同社は、アルミ製品やLED照明を製造するほか、冬の風物詩となった表参道や池袋、そして地元秩父のイルミネーションにも携わっています。
今や幅広く事業を展開する柴崎社長ですが、社長になるまでには数々の葛藤や転機、そして“腹落ち”のステップがあったとのこと。お話を伺いました。
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後継者が社長になるまでの“腹落ちステップ”
-先代社長のご子息として、幼い頃から、将来社長になることを意識されていたのでしょうか。
父から直接プレッシャーを受けたことはなかったのですが、周囲からは、「社長の息子さん」として見られ、「将来は社長になるんでしょ」という期待は感じていました。
しかし、当時の私は明るい性格でもなかったですし、誰かに決められた人生を歩むのは嫌だなと思っていました。同じような気持ちの後継者は多いのではないかと思います。
私のような社長になることを受け入れたくなかった後継者が、社長になることを腹落ちするまでには、いくつかのステップがあると考えています。
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はじめは、社長に「なりたくない」から始まり
次に、社長を「やらなければいけない」となり、
やがて、「社長をやっていくんだ」と腹落ちしていくのです。
-まず、社長に「なりたくない」から「やらなければいけない」となるまでをお聞かせください。
高校生になっても、社長を「やらなければいけない」という気持ちにはなれず、ある計算式ばかりをずっと考えていました。
「5×140」・・・何だと思いますか?
5は一家族の人数、140は当時の従業員数、つまり、私が経営を失敗した時に路頭に迷わせてしまう人数です。とてもそんな怖いことはできないと思い、当時は逃げるようにスケボーに熱中していました。
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大学でも引き続きスケボーに熱中していたのですが、大学3年生のある日、転機となる出来事が起こりました。とあるメーカーからスポンサーの話が舞い込んできたのです。スケボーのプロになってアメリカに行くんだ!という夢を抱いていたのでとても張り切って練習に励みました。
しかし、実技試験の1週間前、練習中に靱帯を損傷する大怪我を負い、スポンサーの話も立ち消えてしまいました。
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それから、私には社長をやらずに済む道など存在するのか、両親はどう思っているんだろうか、などと考え出すようになりました。
この時が「社長をやらなければいけない」となったタイミングなのかなと思います。
-「社長をやらなければいけない」となってから、何か変わったことはありますか。
社長にとって絶対に必要なものを考えるようになりました。
優秀な父と全て同じようになるのは無理だったので、まずは暗い性格を変えようと思いました。「根暗な社長なんて社員はイヤだろうな」と(笑)
何をしたかというと、毎年の元旦に、近所の公園で初日の出を待つ見知らぬ人○人以上に○分以上話す目標を立て、実行しました。
初年度は10人と5分以上、次の年はそれ以上といった具合に目標値を高め、これを3年間続けました。性格は簡単に変わりませんでしたが、人前で話す度胸は付いたかと思います。
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社長を「やっていくんだ」と決意を固めた1通のメール
-大学院では経営学を専攻されました。「社長をやっていくんだ」と腹落ちしていたからでしょうか。
確かに大学院では本気で経営学を学んでいましたが、まだ腹落ちしていたわけではありませんでした。
当時、家庭教師のアルバイトをしており、人に教えることに魅力を感じていたので、教育・出版業界を中心に就職活動をしました。
しかし、とある大手出版社の役員面接まで進んだところで、突然父から、「おまえの就職先を決めてきたぞ」と言われたのです。
結局、父が決めた会社に進むことになりました。
その会社で数年お世話になった後、当社に入社し、中小企業大学校で経営後継者について学びました。
大学校の同期は後継者ばかりで、同じ悩みを共有できることはとても新鮮でした。ただ、ここまで来ても「社長をやっていくんだ」という想いには至っていませんでした。それどころか、実は数社から引き抜きのオファーもいただいていました。
そんなある日の講義中、当社の社員から1通のメールを受信したのです。
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そこには「いつ会社に戻ってくるのか」と書かれていました。
何事かと思って、「なにかあったの」とメッセージを返すと、「特にないけど、早く戻ってきて一緒に仕事しよう」と。
雷に打たれたような感覚でした。
たった一人でも一緒に働きたいと思ってくれる人がいるなら、人生を賭けられると。
これが社長を「やっていくんだ」と腹落ちした瞬間でした。
すぐに、引き抜きのオファーも断りの電話を入れました。全く迷いはありませんでした。
表参道から池袋、そして地元秩父に光を灯す
-会社に戻ってから、表参道を皮切りにイルミネーションに携わられるようになりました。
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2016年からLEDライト提供や演出システムの提供をしている。
表参道のイルミネーションに携わることになったきっかけは、とある先輩社長からのお誘いです。当社はLED照明を取り扱っていたのでお声掛けいただいたのだと思います。
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しかし、LED照明とイルミネーションは似て非なるもので、そんな簡単に出来るような代物ではありません。
ということで、その場ではお断りをした・・・はずだったのですが、数日後、先輩社長から「コンペが近づいてきたけど準備は順調か」と連絡があったのです。
「こうなったらやるしかない」と腹を括り、イルミネーションの専門家を探し出し、力を借りてコンペに臨み、なんとか勝ち取ることができました。
-その後、池袋西口公園や地元秩父のイルミネーションにも携わられています。イルミネーション事業をどのようにお考えでしょうか。
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光のつららや光の水族館が楽しめる。2025年は2月28日まで開催。
もちろん事業として育てていくという側面もありますが、実は社員へのメッセージでもあります。
弊社はアルミ製品やLED照明、バイオセンシングなど様々な事業を手掛けていますが、家族に説明する時に説明しづらい部分があります。
「表参道のイルミネーションをやっている会社だ」と言えたなら、社員も誇らしく、喜んでくれるのではないかと思ったのです。
しかし、秩父からだと表参道は遠く、期待した程の雰囲気にはなりませんでした(笑)それならばと、秩父から見た都内への玄関口である池袋、そして、最終的には地元秩父と、だんだん近づいてきました。
-2024年12月より、秩父のイルミネーション『秩父夜街 彩さんぽ2025』が開催されています。
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はい、これまで表参道や池袋で培ってきた経験と、地元住民としての目線を活かして、企画制作から演出を含めてトータルで担当しています。
秩父には「秩父夜祭」、「芝桜」、「秩父銘仙」、「礼所巡り」、といった数々の魅力があります。これらを光の花模様や『秩父の色100選』で表現しつつ、観光名所である秩父神社やノスタルジックな街並みを、イルミネーションで繋ぐことを意識しています。
また、何度も行きたくなるように毎年コンセプトを変えています。2025年2月16日(日)まで開催される今回のコンセプトは「冬に咲く 歴史と文化の万華鏡」です。地元の方も、観光客の方も、イルミネーションを通じて、秩父の豊かな歴史と文化を発見できると思います。ぜひお越しください!
秩父夜街 彩さんぽ(主催:一般財団法人秩父地域おもてなし観光公社 共催:秩父市)
【企業情報】
株式会社シバサキ
代表取締役社長 柴崎 聡(しばさき さとし)
埼玉県秩父市堀切507
-編集後記-
見た目や話し方はとてもクールな社長でしたが、原動力は何かと伺ったところ、社員の嬉しそうな顔や、家族の笑顔とお答えいただきました。
高校時代に悩んだ「5×140」の答えの意味が変わり始めているのかもしれません。
担当特派員 MK