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地元に残る若者たちを支える!~社長が掲げる信条と経営にかける想い~

経営者の情熱を発信していく“Project CHAIN”の第27弾。今回は群馬県みどり市に本社を構える株式会社タイヨーの川合義一(かわいぎいち)代表取締役です。
同社は、航空機、船舶、発電所など様々な分野で用いられる大型金属部品の精密加工を行う金属切削加工メーカーです。近年は、切削加工で出る切粉の再利用に向けた工夫などSDGsへの取組も積極的に行っています。川合社長はお父様から会社を引き継ぎ、3代目社長として30年近く会社を経営しています。今回は、川合社長の幼少期や地元の群馬県で会社経営を続ける想いについてお聞きしました。

原点となる土木建築との出会い

-川合社長の幼少期について教えてください。

ダムや橋、ダンプが大好きな子どもでした。私の家の近くに足尾銅山があったため、子どもの頃はよく足尾銅山に遊びに行っていました。土木の現場や大型の建築物が身近にあってずっと触れ合ってきたので、土木や建築好きな子どもに育ったのだと思います。そのため、大学では土木工学を専攻し、その後ゼネコンに就職しました。現在の当社の業務は土木建築との関係はありませんが、今も変わらず、建築物は見ていてすごく楽しいですし、私のものづくりの原点ですね。

インタビューに答える川合社長。土木の魅力について語る。

地元雇用にかける想い! 地元に残って働く人を守る!

-社長就任時にどのようなことを意識していましたか。

子どもの頃から、会社を経営する父を近くで見てきたので、「いつか自分が社長になるのかな」という想いは抱いておりましたが、父が体調を崩したことにより26歳で入社し、32歳のときに父から会社を引き継ぎました。入社して6年目でしたが、会社を引き継いだときは、会社の方向性について色々と悩んだことを今でも覚えております。将来どのような会社にしていくべきかと考えたとき、地元雇用を大切にする会社、地元で働く 若者を支えられる会社にしようと決意しました。
私から見たこの地域の傾向として、次男や三男は就職で地元から離れてしまうケースが多いですが、長男は実家を継いだり、様々な事情で地元に残ることが多いと感じています。長男である私も大学に進学するタイミングで地元を離れ東京に出ましたが、結局、地元が恋しくなって群馬に戻ってきました(笑)。
若者が安心して地元で働くことができるよう、私が社長に就任してからは、社員全員を正社員として雇用しています。社員の定着率も安定しますし、彼らを守るためにも正社員としての雇用にはこだわり続けております。今後も、地元で働く若者に寄り添いながら、彼らが安心して、長く働くことができる場所にしていきたいですね。

従業員との繋がりと目指していく会社像

-経営で意識していることはありますか。

従業員に対して経営状況は常にオープンにしています。オープンにすることで従業員のモチベーションが高まりますし、従業員も日々売上げを意識しながら働くことができます。実際に会社の売上げとボーナスを連動させているので、毎月の売上げは一人一人がすごく意識しています。役員に依存した経営ではなく、従業員が経営者と同じ課題意識を持って仕事を行うことで、従業員の自立化を図っていきたいです。
また、会社全体を明るい会社にしていきたいです。明るい会社を目指すうえでは従業員とのコミュニケーションも欠かせません。私自身、従業員とは一緒にゴルフに行ったりするぐらい仲が良いです。今後も、部活動の延長線上のような会社を築き上げていきたいですね。

工場の中には私が考えた信条をボードにして掲げています。毎週、ボードの前で朝礼を行っているのですが、掲げられた信条の中には仕事に関することだけでなく、私生活のことも含め幅広い内容が書かれています。若い従業員も多く働いているので、仕事に向き合う姿勢の他、少しでも何か想いを感じ取ってもらえれば嬉しいです。

工場に掲げられた信条

-ところで、敷地内の通路や工場の外観が特徴的ですよね。何かこだわりがあるのですか?

本社近くの工場はほとんど私が趣味で建てたものです。小さい頃から建築が好きだったので、子どもの趣味の延長線上であちこちに工場を建ててしまいました(笑)。石段やせせらぎなど私の好きなところがつまったお気に入りの工場です。工場周辺は緑や川に囲まれていて、虫の鳴き声や水の流れる音が聞こえてくるので、自然溢れる環境下でとても落ち着きますね。

川合社長が自ら建設した石積みの法面や工場(画像提供:株式会社タイヨー)

-今後どのような会社にしていきたいですか。

あえて具体的な経営目標は立てないようにしています。5年後、10年後の社会がどうなっているか予測が難しい状況の中で、成り行きに任せるのも経営判断の一つだと思います。ある程度の波があるからこその楽しさもあります。
また、スピード感をもって意思決定することも大切にしています。以前、中古の機械設備を即断即決で購入したことがありました。最初は機械の現物を見学しに行くだけの予定でしたが、実際に目で見て優れた設備だと感じ、その場で購入を決断しました。従業員たちに相談せずに購入したので、会社に戻ってきたときにすごい驚かれましたね(笑)。中小企業は“スピード感”が命なので、これからも決断力とスピード感をもって経営していくことが目標です。

【企業情報】
  株式会社タイヨー
  代表取締役 川合 義一(かわい ぎいち)
  群馬県みどり市大間々町浅原1458

-編集後記-
都市部へ人口が流出する中、地元採用にこだわる川合社長の想いにとても惹かれました。持続可能な社会基盤を構築していくためにも、雇用維持の大切さを痛感しました。また、お話をお聞きする中で、川合社長の行動力とスピード感には驚かされました。これからも川合社長の「決断力」と「地元雇用を大切にする想い」に期待したいと思います。
                           担当特派員 SK

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