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Project CHAIN番外編#2 潜入調査であの記事を深掘り!「いきいきと働く」って実際どういうこと?

経営者の情熱を発信する“Project CHAIN”。今まで40社以上にご協力いただき記事を公開してきましたが、今回は番外編として、今まで公開した記事をさらに深掘りすべく、潜入調査を敢行いたしました!
今回ご協力いただいたのは、株式会社サーフ・エンジニアリング。前回の記事で、社会貢献への取組や社内のDXについて語っていただきましたが、その中でも「いきいきと働く」というキーワードが印象的でした。イチ読者の関東局職員2名は、記事に感動した一方で、密かに「・・・実際「いきいきと働く」ってどういうことだろう。」「お客様のために、社会のためにというけど、本当に実践できているのか?」「先輩たちは、取材企業を美化しすぎているのではないか?」と疑いの目を向けていました。
今回、その疑念(?)疑問(?)を晴らすため、株式会社サーフ・エンジニアリングに潜入し、社長と社員の皆様にお話を伺いました!

※是非前回の記事をご一読の上、ご覧いただけますと幸いです。
【前回記事:♯28「アナログ×デジタル」で公共利益を追求! ―ものづくり父子鷹の挑戦
https://kanto-meti-gov.note.jp/n/n876729797d91?magazine_key=m88b6a42238c8

サーフのみなさんは本当にいきいきと働いているのか・・・を確かめるべく、 いざ!潜入します。

前回も取材にご協力いただいた優馬さんが迎えてくださいましたので、早速、単刀直入に聞いてみました。

「ようこそ我が社へ」と優馬さん

ー「いきいきと働く」って、どういうことですか?

優馬さん:会社の理念である、「大いなる喜びは、大いなる社会貢献の中にある。」「顧客の利益が自社の利益。すなわち公共利益。」これを体現することが、いきいきと働くことに直結すると考えています。お客様のためを思って取り組んだことが結果として、自社の生産性向上や売上増加にもつながり、楽しいですしやりがいを感じています。

前回の取材の際に、「ヒデさんやサーフのみんなはいきいきと仕事をしているように見えた」ことがきっかけで入社を決意したとお話されていた優馬さん。本当に社員全員がいきいきと働いているのでしょうか?
社員さんにお話を聞いてまいります!

まずは、15年以上サーフ・エンジニアリングでものづくりに携わっている、職人真田さん竹内さんへお伺いしました。

旋盤加工を担当している真田さん(左)、溶接を担当している竹内さん(右)

ー特に、仕事のどんなところにやりがいを感じますか。

真田さん:仕事が多岐に渡っているところですかね。ロボット、道路インフラや都市ガス関連など、色々な案件を担当することができる点は、日々楽しいし、やりがいに感じています。

竹内さん:私も同じく、幅広い仕事に携われることにやりがいを感じます。また、私は主に溶接を担当しているのですが、お客様に溶接の技術を評価いただいたときは嬉しいです。

ー会社の理念にある、「お客様のために」というのは常に意識していますか?

真田さん:社長から定期的に会社が目指すビジョンの共有があるので、意識せざるを得ないところはあるかもしれません(笑)。一方で、自分のやりがいは理念に紐付いていると思います。自分たちも、案件管理の効率の悪さについては問題意識を持っていましたが、次々に新しい仕事が来ると改善策を検討する余裕がなく、もどかしい思いをしていました。これによってお客様に迷惑をかけたこともありましたし、本来であれば受注できた案件を逃したこともありました。優馬くんがDXに取り組んでくれたおかげで、より、お客様の利益に繋がる仕事ができるようになったと感じます。

優馬さん:「工場のDX」を最終ゴールにしてはいけないと思っています。あくまで我々の目標は、お客様のために、納期を守って確かな品質の製品を届けることであって、DXはそのひとつの手段にすぎません。

「工場にモニターを設置し、案件管理することも考えましたが、
紙のほうが見やすかったので、紙で管理しています。」(優馬さん)

ー優馬さんが入社されてから、会社に変化はありましたか。

真田さん:若いからなのか、優馬くんが特にそういう性格なのかはわかりませんが、とにかく目の前のことに疑問を持ち、顧客の不満足解消のために何ができるかなど、現場の改善点を常に考えながら仕事していた印象です。あとは、社長がまるくなりましたね(笑)

続いて、サーフ・エンジニアリングのDXを支える、システム入力などを担当している、パートの塚田さんへお伺いしました。

市販アプリと自社アプリを活用し、発注管理を行っている塚田さん

ー入社を決めたきっかけはなんですか。

塚田さん:会社の理念に基づいた目標がしっかりと設定してあって、そこに向かって自分も会社の一員として取り組めること、自分で考えて動けるため成長できると思ったことが魅力に感じました。

優馬さん:実は、求人サイトには細かい要件はほとんど書かず、「理念を体現してくれる仲間を募集」というのを押し出していました。正直、中小企業で、こんなふうに募集して人が来るか半信半疑でしたが、塚田は体育会系出身ということもあってか、「スローガンがあると頑張れるんです」と言ってくれたのを覚えています。

塚田さん:私の仕事は、やろうと思えば職人さんや優馬さんたちでも回せる仕事だと思っています。しかし、そこにお金をかけて自分を採用してもらっているので、より会社に付加価値を提供できるよう、責任感を持って仕事をしています。今までミスもたくさんしましたが、サーフのみなさんは理不尽に怒らずに次どうしたらいいかを一緒に考えてくれるので、その期待を裏切りたくないなと思っています。

ー笑顔でお話される塚田さんの様子からも、いきいきと働いていることがわかります。

塚田さん:楽しく働いています。今度、会社の皆さんのご家族と、バーベキューに行く予定なんです。私の子供たちは優馬さんが大好きなので、すごくテンションが上がっています(笑)

家族ぐるみのお付き合いもあるなんて、素敵です。
お聞きした社員の声を、社長と優馬さんに伝えてみました。

ー社員さんもパートさんも、会社の理念に共感し、いきいきと働いていることがわかりました。

優馬さん:最初にもお伝えしましたが、まさしく、理念に共感して、これを体現することが「いきいきと働く」のポイントだと思います。
誰かに喜んでもらえたらうれしい、というのはみんなそうだと思います。自分も、子供のころからそうでした。
ただし自分が「誰かのために」仕事をしたいと思っていても、会社や所属する組織の目標が違う方向を向いていると、後ろめたい気持ちで仕事をすることになってしまい、だんだんと仕事が楽しくなくなってしまうのではないかと思います。
規模が小さい当社のような企業のほうが、より、社員への理念の浸透度も高いし、実際に「人のために働いている」という実感も得られやすいと考えます。会社と同じ方向を向いて仕事に取り組める環境が、「いきいきと働く」ことに繋がっているのではないでしょうか。

ーなるほど、非常に納得しました。貴社の理念の大切さがわかりますね。ところで、会社の理念をつくったのは、何かきっかけがあったのでしょうか?

社長:理念として文章化したのは、ビジネスコンテストに参加するにあたって応募書類を作成していたタイミングでした。書類自体は、普段からお世話になっている信用金庫のご担当者にアドバイスいただきながら作成しましたが、その方に「理念は社長の言葉で」と言われて、これまで仕事をするうえで大事にしていたことを、言語化しました。

ー社長の「思い」が理念として言語化されたことで、社員の皆様にも同じ思いが根付き、同じ方向を向いていきいきと働けているのだと感じます。

優馬さん:私自身、自分がわくわくするのは誰かに喜んでもらうことなので、その目標に向かって仕事に取り組めることが楽しいです。自分がわくわくすることをそのまま仕事にできるのは幸せですね。

ー率直な疑問ですが、仕事がつまらないなと感じることはないのでしょうか。

優馬さん:もちろんありますよ!でも、つまらないと感じる時は、大体、仕事に原因があるのではなくて、同じことを続けている自分に飽きているんですよね(笑)そんなときは、新しい人に会ったり、本を読んだりして、それを仕事に取り入れています。一見、仕事に関係ないと思うものについても、遊び半分でやってみます。
いろいろなことに手を出して自ら調べ、身につけた結果、視野や「個人内多様性」が広がります。そうやって、スキルアップしてお客様の課題解決に携われること、それを喜んでもらえること、売上につながることをやりがいに感じています。中小企業は、手を出そうと思えばいくらでも手を出せること、自分が得意だと思ったことをすぐ仕事にできることが魅力です。

ー優馬さんはじめ社員ひとりひとりに理念が根付いていることや、プロ意識が、結果的にいきいきと働くことに繋がっていることがよく分かりました。最後に、今後の抱負をお願いします!

優馬さん:社長が築いてきた人との繋がりを大切にし、地域に貢献していきたいです。2年程前からは、工業会で、学生インターンシップの受入を検討しています。学生と社会人の間に大きなギャップを感じてしまうという声もよく聞きますが、実際には、仕事というのは小さな課題解決の積み重ねなんです。学生のうちに、中小企業で課題解決の経験を積んでいただき、仕事をするうえでの選択肢を広げてもらう機会をつくりたいと思います。

社長:年収1,000万円以上の職人をつくれるかどうかが中小企業の腕の見せ所だと考えています。うちの作業場にも新型の便利な機械はありますが、より精密なものを作るときは、古い機械とそれを使いこなす技術を持つ職人が必要です。技術を守っていくためには、職人が稼げる環境をつくらないといけません。インターンシップや、オープンファクトリーなどを通じて吉岡地域の魅力も発信し、ものづくりを支える人材技術を増やし、よい循環を生み出していきたいと思います。

地域の町工場としてどうあるべきか、ロマンを語る社長(左)と優馬さん(右)

ー「いきいきと働く」サーフ・エンジニアリングの皆様を見て、私たちも、これからもずっとやりがいを感じられるよう、いろいろなことにチャレンジしていきたいと思いました。本日はありがとうございました!

潜入調査の結果、本当に全員がいきいきと働いている素敵な会社であることが分かりました。参りました!
サーフ・エンジニアリングの皆様

―編集後記―
今回は番外編ということで、Project CHAINとしてははじめての試みである社員の皆様へのインタビューもさせていただきました。社長も社員も、相互にリスペクトしながら仕事をしている様子が印象的でした。社員から見た会社・人の魅力に触れたことで、私の心はサーフ・エンジニアリングに入社しました!(担当特派員SH)

なぜ、「お客様のために、社会のために働く」ことがやりがいに感じるのかお聞きしたところ、「人のためになにかをすることに対し理由を考えたことなかったな」とおっしゃっていて、愚問だったな‥と反省しました。いきいきと働くために工夫されている点ももちろんありますが、それ以前にサーフで働く皆様ひとりひとりの人柄が、温かな会社の雰囲気を作っているのだなと感じました。(担当特派員TY)

【参考情報】

2024年7月20日(土)に開催された「中小企業DAY2024」「関東経済産業局の取組紹介~”推し”と語る!『中小企業の魅力』~」に優馬さんをお招きし、より詳しいお話を伺いました。以下リンクより、アーカイブが視聴可能ですので、ぜひご覧ください! (同社の登場は15分00秒頃からです。)