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施策見聞録(中小企業施策 どう使ってますか?)

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あの企業は、中小企業施策をどう使ったのか? 施策の目的や意義について、ご活用頂いた企業様のインタビューを通じて出来るだけ分かりやすく情報発信していきます。
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中小企業支援施策 どう使ってますか?

はじめまして。 私たちは経済産業省関東経済産業局中小企業課(How do?部)です。 本マガジンでは、中小企業施策について、その施策を活用した企業様へのインタビューを通じて、「施策をどう使ったのか?」「施策がどのように役立ったのか?」に焦点を当てて情報発信をしていきたいと思っています。 施策の解体新書ではないので、制度の詳細要件を解説したものではありませんし、ましてや補助金に採択されるための勝利の方程式が書かれているわけでもありません。 では何を伝えたいのか? 各施策の持

「事業継続に向けて様々なリスクを想定し対応する!」事業継続力強化計画×BCP×ISO認証

有限会社中澤製作所は、昭和50年4月に長野県千曲市で設立された、自動車や家電、医療用のコネクタ製造を主とする企業です。金型設計・製作から生産加工までの一貫受注を可能としています。また平成24年8月に統合ISOを取得し、ライン内に自社で開発した省力型検査機を設置し、製品の全数保証を行うなど、ISOに準じた品質保証体制を整えています。 ISOの中でも、ISO22301(事業継続マネジメント)を取得し、災害への備えも積極的にしており、事業継続力強化計画の認定も受けています。 そこ

円滑な事業承継につながった経営革新計画

株式会社佐野機械は、昭和35年に現社長である佐野哲也氏の祖父佐野清氏が製紙機械の設計製作を生業とし創業しました。令和4年9月に父である佐野勝由会長から哲也氏が代表を引き継ぎ、来年で65年目を迎える地域の老舗企業です。特に、機械内部の搬送用ベルトの蛇行防止技術に強みを有しており、昭和40年頃に最初の装置を開発、平成15年には新型機を開発し特許を取得するなど、高い技術力を持って商品を全国に提供しています。蛇行防止装置の製造に特化した事業者は全国でも数社のみで、ニッチ分野において存

経営力向上計画をきっかけに、人手不足の解消&経営のモニタリングに取り組む!

今回取材したのは、東京都立川市に本社を置く『株式会社ウオールナット』です。 同社は、土木構築物の調査計測サービスと機器開発を行っており、「斬新な発想と創意工夫の機動力で社会生活の安全を守る」という経営理念のもと、インフラ土木構築物の調査点検業務を展開しています。老朽化が急速に進んでいるトンネルを始めとするインフラメンテナンス事業を主力とし、トンネル等を点検・調査する際は、空洞探査や目視調査、ドローンを用いた調査など様々な調査方法を取り入れています。 同社の齋藤社長は創業以前、

経営革新計画を活用した新事業へのチャレンジ~ブレない心のよりどころを創る~

-印刷業界で生き残るためにどのような戦略を展開されているのでしょうか? 当社は昭和46年に設立され、今年で創業52年になります。同業印刷大手からの下請けがメインではありましたが、小ロット中ロットを中心したニッチな市場を開拓し、競合他社との差別化を図っています。印刷業界は一般的に菊全判サイズ(636mm×939mm)の印刷機が主流だったのに対して、当社は10台以上あるすべての印刷設備をその半分の菊半裁サイズ(469mm×636mm)の印刷機に統一するという業界では珍しい企業でし

「組合員が協力して防災・減災力の強化に取り組む」初動の共通認識を持つためにシンプルなタイムラインを作成!

 「事業継続力強化計画」は、自然災害等による事業活動への影響を軽減することを目的とした中小企業向けの事前対策計画です。この計画には、例えば、災害時における従業員の避難・被害状況把握、社内体制の設定などの初動対策に加え、人員、設備、資金繰り、情報保全にあたって必要な対策などを記載します。有事の際の取組を簡易かつ簡潔に策定でき、中小企業にとって危機対応力を高めることができる有効なツールとなっています。事業者が単独で取り組む場合と複数事業者が連携して取り組む場合のいずれでも計画を策

事業再構築補助金を活用した支援機関のチャレンジ~事業者支援と金庫職員育成を目指すハイブリッドな取組~

今回は、事業再構築補助金の支援を担うしずおか焼津信用金庫の取組を紹介します。しずおか焼津信用金庫は、昭和6年1月17日設立の静岡県内に62店舗を構える静岡・焼津地域に根ざした金融機関です。「誠意を尽くし、挑戦を続け、地域社会と共栄する」という行動指針を掲げ、創業期、成長期、成熟期以降に分け、地域事業者に寄り添ったきめ細やかなサービスを提供しています。相談プラザという拠点を静岡、焼津、藤枝に構え、融資だけではなく、創業や各種補助金、販路開拓、海外進出など企業のライフステージに応

「協力会社があって当社の事業が成り立つ」サプライチェーンを意識して防災・減災力の強化に取り組む!

事業継続力強化計画とは? 「事業継続力強化計画」は、自然災害等による事業活動への影響を軽減することを目的とした中小企業向けの事前対策計画です。 この計画には、例えば、災害時における従業員の避難・被害状況把握、社内体制の設定などの初動対策に加え、人員、設備、資金繰り、情報保全にあたって必要な対策などを記載します。有事の際の取組を簡易かつ簡潔に策定でき、中小企業にとって危機対応力を高めることできる有効なツールとなっています。 事業者が単独で取り組む場合と複数事業者が連携して取り

『~経営力向上計画を活用しながら、自社の現状把握と今後の成長戦略を考える~』

今回取材したのは、埼玉県秩父市に本社がある精密加工の『株式会社 新井精密』です。 同社は繊維関係の企業に勤務していた先代(現代表者のお父様)が独立し、夫婦二人の内職から精密部品加工の事業をスタートさせました。現在は、自動車分野、医療機器分野、コネクター分野、空圧分野等幅広い業種に対応しながら事業を行っています。 今回お話をお伺いしたのは、2代目である新井利幸社長です。 新井社長は大学卒業後、同社へ入社。入社後は営業から生産管理まですべての部門に携わってきました。先代からは、

事業再構築補助金を活用したEV向け新製品製造へのチャレンジ~単一市場からの脱却と新たな市場獲得へ~

株式会社JSTは、1952年に先代である秋山文作氏が創業した金属加工事業者です。秋山文作氏が航空機部品を製造する会社に勤めていた経験から、様々な部品の組立や金属加工を行っていましたが、世の中に出回っている多くの部品がプラスチック素材に変わり始めたことに危機感を覚え、1970年にプラスチック素材に変わることはない「シャフト」専業に事業を転換しました。社名のJSTは、J:じょうずに、S:シャフトを、T:つくる専門工場の略であり、現在に至るまで「シャフト」加工の専門工場として自動車

事業再構築補助金へのチャレンジがもたらした成長への歩み~補助金活用のメリットは社内外に自信をもって示せる「事業計画書」を作れること~

FSX株式会社は、1967 年におしぼりのレンタルサービス(貸おしぼり)業として東京都国立市で創業しました。飲食店やホテル等で使用される布製おしぼりを顧客に貸与し、使用後に回収・洗濯し再度貸与するという業務で、顧客規模は約4,000件にも上り、現在も同社の主要事業です。 近年は、天然アロマオイルを配合した使い切りおしぼりの開発や、ウイルス・菌を99.99%以上抑制する特許技術『VB(ブイビー)』を使用したおしぼりの提供、おしぼり冷温庫 『REION』の開発を行うなど「おしぼり

社長就任後の第一歩は経営力向上計画とともに~自社の経営課題を見つめ直し、新しい事業に挑戦~

新潟県佐渡市に本社のある精密機械加工の「佐渡精密株式会社」。廃校になった中学校の校舎を利用し医療機器や航空機、半導体製造装置などの高度な部品を手掛け、離島発で全国800社以上の顧客を有しています。4代目の末武和典社長は、経営力向上計画及び中小企業経営強化税制を効果的に活用されています。 社長就任当時は、これから会社をどうまとめていこうか?どのように新しい事業を創出していこうか?などについて頭の中で色々と構想していらっしゃったそうです。そのような時に、経営力向上計画に出会い、自